X社事件(東京地判平19・4・27) 女性へのストーカー行為で懲戒休職は有効か? 企業の社会的な信用を毀損
放送会社の社員が、業務上知り合った女性に対するストーカー行為を理由に懲戒休職処分を受け、その効力を争った事案。東京地裁は、私生活上の行為であっても、企業の社会的信用を毀損するものは懲戒の対象になり得ると判示。過去2度の暴行事件などの処分歴につき、二重処罰に当たる可能性があるという社員の主張も、情状を考慮したに過ぎないとして退けた。
私生活の言動でも 過去処分歴を勘案
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
放送会社の社員である原告は、担当業務において知り合った社外の女性らと私的に連絡を取り合っていたが、トラブルになり、当該女性らに多大な迷惑と不快感を与え会社の信用を著しく損ねる結果を招いたことを理由に懲戒休職処分を受け、その処分の無効確認と懲戒休職処分期間中の賃金等の支払いを請求し、また、同処分を社内に公示したことおよびその後の配転命令が不法行為に当たると主張して慰謝料等の支払いを請求した。
判決のポイント
原告は、被告の看板番組の制作過程で知り合った女子学生らに対し、同人ら(またはその一人)に対し、嫌っているにもかかわらず性的な言動に及んだ上、同人から接触を拒絶する旨告げられたにもかかわらず、異常な言動を繰り返し、会社の施設を利用し、これが相手方に明示される方法で、自分の要求が叶わない場合には何らかの危害を加えることもあり得ることを示唆するかのような強要威迫的言辞を弄し、その家族にまで恐怖心を抱かせたというのであり、かつそれが社外の人物である上記会社社長にも知れ渡った結果、…
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