都市再生機構事件(東京地判平29・11・10) 休日は事故対応で呼出し待機、割増賃金求める 携帯貸与も労働時間性なし
携帯電話を渡されるなど休日は事故発生に備え待機していたとして、総務課長が残業代を求めた。東京地裁は、本人は休日に外出していたことを認め、自宅待機の指示はなかったと認識していたと判断。過去3年間に事故は起きず、休日は労働からの解放が保障され、指揮命令下になかったとした。事故対応マニュアルにある「事故から3時間以内に集合」の記載は目安としている。
場所的に拘束せず 集合時間は目安で
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
甲は、A法人の東日本都市再生本部東日本公園事務所において、総務課長(非管理職)として、総務・経理業務のほか、特定公園施設の運営管理を担当するものである。運営管理業務には、事故対応の連絡調整業務も含まれていた。
甲は、平成27年4月1日、A法人貸与の携帯電話を渡され、事件・事故、災害による被害等が発生した場合の連絡を受けるように指示されていた。また、所長から施設関係者に対して甲の自宅の電話番号を記入した連絡網を渡すよう指示を受け、自宅および携帯電話番号が記載された緊急連絡網が作成されていた。
甲は、休日にA法人貸与の携帯電話を持ち、自宅またはその周辺に待機していた時間が労働時間に当たるとして、A法人に対し時間外手当の支払い等を求めた。
甲は、請求の理由として、休日は携帯電話を身に着けて自宅で待機していたこと、マニュアルに事故等が発生した場合に総務課長としてとるべき対応が詳細に記されており、「土日祝日も同様とする」と記載されていたこと、事故等の連絡を受けてから3時間以内に現場に赴くよう命じられていたこと、所長から事故等の連絡を受けられるよう携帯電話を身に着けるよういわれたこと等を挙げている。
A法人は、自宅待機を命じたことはない、3時間以内の記載は目安である等として争った。本判決は以下のように判示し、甲の請求を斥けた。…
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