アワーズ事件(大阪地判平17・4・27) 元飼育員が動物虐待と告発、懲戒解雇は不当か 真実の証明なく正当な処分

2005.12.19 【判決日:2005.04.27】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 動物園の象の死亡は調教師の虐待が原因と内部告発した元飼育員を信用毀損で懲戒解雇した事案で、大阪地裁は専門家による死因の検討などを通じ告発内容の真実性が証明できず、原告が真実と信じるに足りる相当な理由もないと断じ、解雇権の濫用に当たらないと判示した。

信用を著しく毀損 権利濫用該当せず

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 原告Xは被告Yが経営する動物園に勤務し象の飼育を担当してきたが、平成10年以降は人事異動で販売業務に従事していた。11年12月に、4頭いた象のうちピコという名前の1頭が死亡した。Xは、象の死亡はタイ人調教師らの調教による足の怪我、治療不備、ストレスによる衰弱、餌不足等が原因と考えていたが、Yは象の死亡原因について呼吸不全とし、Xに近い見解を示すことがなかった。

 Xは12年11月頃、テレビ局に内部告発することを決意し、象に対する厳しい調教に関する映像が含まれたビデオテープをテレビ局に提供するとともに、テレビ撮影の下でのインタビューに応じるなどした。

 13年1月に、テレビ局が報道番組で内部告発の内容を放送すると、視聴者から、Yに対し象が虐待されているという前提で多数の抗議が寄せられた。同年2月、Yは、この放送の件で、Xを懲戒解雇した。Xは、本件懲戒解雇の無効を主張し、地位確認と賃金の支払いを求めた。

判決のポイント

 1 原告は、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

平成17年12月19日第2565号14面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。