テザック厚生年金基金事件(大阪高判平17・5・20) 基金解散で打切られた加算年金の清算を求める 給付義務ないとの判断維持
厚生年金基金の解散で打切りとなった加算年金の支給を求める訴えを棄却された一審原告らが、老齢年金給付に上乗せ分を含む解釈は不当、加算掛金は権利者に分配をなどの主張を加え控訴した。東京高裁は基金解散で加算年金部分の給付義務を免れるとした原審判断(大阪地判平16・7・28)を維持した。
準備金確保は当然 根拠ない優先分配
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被控訴人テザック厚生年金基金(一審被告)は、株式会社テザック(現商号はTWRホールディングス)において厚生年金保険法に基づき設立された厚生年金基金であり、被控訴人Mはその理事の地位にあった者である。控訴人ら(一審原告ら)は、テザックの元従業員であり、在職中は基金の加入員であった。
テザックは、平成14年7月、大阪地裁に更正手続開始の申立てを行い、同年9月に同手続開始決定を受けた。また、基金は、13年1月開催の代議員会において解散決議を行い、厚生労働大臣に対し解散の認可を申請し、解散の認可を受けた。基金は、被控訴人Mが清算人に就任して清算手続に入り、控訴人らを含む加入員に対するそれ以後の年金支給を打ち切り、厚生年金保険法所定の最低責任準備金を厚生年金基金連合会に納付した。
基金は、平成13年2月付書面により、控訴人らを含む加算年金受給者に対し、基金が解散したこと、加算年金を支払うことが困難である旨通知した。
控訴人らは、基金に対して、①解散後も控訴人らに対する支給義務を免れない旨主張し、…
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