リゾートトラスト事件(大阪地判平17・3・25) 定額手当払っていたのに退職係長が割増分請求 規制除外の管理職ではない
ホテル・レストラン経営会社の経理係長は、時間外勤務手当相当のライン職給4万円を支給されていたが、退職後に退職前約半年間の時間外、深夜、休日割増賃金を請求した。大阪地裁は日常的な経理事務が職務で勤務時間の自由裁量もないとし、労基法の管理監督者と認められないと請求の一部を容認した。
通常の経理が職掌 勤怠チェックあり
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、平成8年8月、ホテル、レストラン等の経営、会員制ホテル会員権販売などを業とするY社に入社して、平成14年11月まで東京管理部で勤務し、同年12月から大阪支社全体を担当する大阪管理部の経理課の係責係長の職にあった。
Y社では組織上、部責、課責、係責という役責を設け、これらの役責にある者を管理職として位置づけ、一定範囲内での決裁権限や部下社員に対する指揮、指導および監督権限が与えられる一方、役責職給等の職給が支給され、時間外労働等の申請対象とならない扱いをしていた。
大阪管理部は総務課、経理課、業務課で構成され、経理課の業務は小口入出金の管理と経理処理、営業入金の受入れと経理処理等で、Xは在職当時、タイムカードの刻印の義務もなくタイムカードによる時間管理はされておらず、同年1月以降、基本給のほかライン職給名目で毎月4万円の支給を受け、当時、経理課長が空席であったため事実上、課長の扱いをされていた。
Xは平成15年7月31日付でY社を退職したが、同年1月6日から同年6月13日までの時間外、深夜、休日勤務の各割増賃金の合計220万490円と遅延損害金の支払を求めて提訴した。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら