日本アイ・ビー・エム事件(東京高判平17・2・24) 組合員化巡る行政訴訟、決定取消に労委が控訴 協約の一部解約 定説なく無理からぬ対応
専門職組合員化の紛争で会社の対応を不当労働行為でないとした労委決定を巡る行政訴訟。決定を取消された労働委員会が控訴し、東京高裁は①専門職は利益代表者でない、②協約の一部解約は例外的に許されるとの原審判断を維持しつつ、解約無効を前提とした意見表明で不当労働行為でない、と判断を覆した。
不当労働行為でない 原審の有効判断維持
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件の3人はB会社の従業員で、スタッフ専門職の専任以上の職位階層にあるが、組合が労使間の確認書の1項目(「ライン専門職および専任×××部員以上のスタッフ専門職は非組合員とする」)の一部解約を通告した後、組合に加入した。会社は一部解約を認めず、①同人らの組合員資格を認めずに組合費のチェックオフを拒否し、②上司であるT所長が1人の執行委員就任撤回と役員名簿の訂正を求め、③Tが1人に「上級管理職としての職務と責任に反するような活動を行った場合は相応の処分を行う」と通告し、上司のSおよびKが他の2人に対し「ストライキに参加すると処分の対象となりうる」と通告した。
組合らは、東京都労働委員会に上記①~③の行為が不当労働行為に当たるとして救済を申し立てたが、都労委がいずれも不当労働行為に当たらないと申立てを退ける決定を下したため、その取消しを求める行政訴訟を提起した。第一審判決は、別掲の理由を述べ本件決定を全部取り消した。そこで、東京都労働委員会がこれに控訴した。
判決のポイント
1 本件の利益代表者=原審アと同旨
2 本件協約の一部解約の有効性=原審イとほぼ同旨
3 不当労働行為の判断…
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