ライフコミューン事件(東京地判平17・4・13) 無断欠勤や命令無視繰り返す社員を懲戒解雇へ 一連の言動を“総合”し認容
無断欠勤や出勤命令無視などを繰り返した従業員を懲戒解雇した事件で、東京地裁は、2年間にわたり就業規則に規定する懲戒解雇事由に該当する行為をつぶさに認定するとともに、これらの事由を“積み重ねる”と懲戒解雇は客観的・合理的な理由を欠くとは認められず、懲戒権の濫用には当たらないとした。
個別には軽微だが 2年で5つの違反
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、平成13年、有料老人ホーム経営を主な業とするY社に入社し大森老人ホームに配属され、翌年3月、千葉老人ホームに施設長代理(営業職)として異動したが、同施設長の要請により同年5月、本社人事総務部付となり、同年7月からは本社法人団体営業課に配属された。平成15年6月、同課長は人事部長に対し、9月にXの他の部署への異動を上申した。
そこで同年9月11日、同課長が作成した注意書を読み上げ、同月12日から21日までの出勤停止処分をXに対し言い渡そうとしたが、Xは、途中で勝手に退席し、懲戒処分通知書を受け取るよう呼び止められても、受領を拒否し退室した。そして、同月16日、Y社社長と直接面談し、12月20日まで自宅で勤務することを命ぜられたが、自宅勤務扱い終了後の同月22日、23日、27日、平成16年1月10日、12日ないし17日、19日は、事前に届け出せずに無断で欠勤した。
Y社はXに対し、同月19日、同月31日をもって法人団体営業課配属を解き、同年2月1日からはライフコミューン下総中山に配属する旨を通知したところ、Xは、右配転命令に応じられないと述べたが、Xの異議を認めず、1月28日付通知書で同月31日をもってライフコミューン下総中山に転属を命じた。そして、同月29日付「人事異動に伴う出勤命令書」で、同年2月2日、東神奈川事務所業務管理部に出頭するよう命じたが、Xは1月31日にファックスで2月2日から同月6日までの代休届を提出し、1月31日からは出社しなかった。
そこで、Y社は同年3月3日、Xの前記の各行為が就業規則の懲戒解雇事由に該当するため、Xを同月20日付で諭旨退職とし、退職願を同月19日までに提出しない場合は懲戒解雇する旨を通知したが、同月19日、Xが右通知の撤回を求め諭旨退職には応じなかったため、同月21日、Xを同年4月20日付で懲戒解雇する意思表示をした。
これに対し、Xは懲戒解雇は無効であり、Y社との間の雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め提訴した。…
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