近畿コカ・コーラボトリング事件(大阪地判平17・1・13) 不更新条項設け期間満了でパート雇止め有効か 契約終了の合意成立と棄却
7回にわたり更新したパートに継続打ち切りの説明会を開いたうえ、不更新条項付で期間1年とする労働契約に基づき期間満了で行った雇止めの効力が争われたもので、ある程度の継続期待が認められ解雇法理が類推適用されるところ、不更新条項により契約終了の合意が成立していたと判示し請求を斥けた。
継続期待はあるが 解雇の法理適用余地ない
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Y社は、平成元年から同5年にかけてA、B、Cをそれぞれパートとして採用したが、右3人との間で、平成7年4月、雇用期間の定めのある「パートナー社員」労働契約を締結して、契約書を作成し、平成8年以降も雇用期間を1年(1月1日から12月31日)とする同契約を締結し契約書を作成してきた。ただ右契約書には、契約期間を更新しないとする旨の規定や、各人の署名押印と別個に確認印を押印することはなく、契約書作成が翌年になることもあった。
平成13年11月、Y社は、パートナー社員との雇用契約が翌年12月末にて満了となり、以後の継続雇用はしないなどの説明会を実施して、同年度の契約更新の希望を確認したうえ、平成13年末ころ、A、B、Cとの間で、平成14年1月1日から同年12月末までを期間とするパートナー社員労働契約書(本件契約書)を作成し、A、B、Cが署名押印するとともに確認印を押印したが、右各契約書には、「本契約期間については、更新しないものとする」との条項(不更新条項)が付加されていた。
そこでY社は、平成14年11月7日付でA、B、Cを含む76人のパートナー社員に対し、同年末に雇用契約期間が満了する旨の通知書を交付し、同年末をもって雇止めをした。
これに対し、A、B、Cは、雇用契約の期間満了を理由とする雇止めには解雇に関する法理が類推適用されるが、右雇止めには合理的な理由がなく無効であり、また雇用契約を終了させる旨の合意はなく、かかる合意は公序良俗に反し無効であるとして、それぞれY社の従業員たる地位にあることの確認等を求めて提訴した。
判決のポイント
Y社とA、B、Cとの本件各雇用契約は、少なくとも平成7年4月以降に関しては、期間の定めのある契約であって、その更新が繰り返されたことをもって、雇用契約自体が期間の定めのない契約となるものではないが、…
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