JR西日本(受動喫煙)事件(大阪地判平16・12・22) 車掌詰所で受動喫煙被害、“全面禁煙”を求める 完全防止までの義務負わず
2005.07.18
【判決日:2004.12.22】
車掌詰所での受動喫煙によるストレス、健康被害の危険性を理由に全面禁煙措置と、安全配慮義務違反による損害賠償を請求したが、法令上、全ての箇所で禁煙措置の義務を負わせるものではなく、詰所に常駐することがないうえばく露時間も短く、現実的に治療が必要な健康障害もないとして訴えを斥けた。
常駐場所ではない 賠償請求も斥ける
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
X1、2は、Y社の職員で車掌等の職務に従事しているが、Xらが利用している詰所における分煙対策等が不十分なため、受動喫煙によってストレスを感じ、がん等重篤な疾患等に罹患する危険性にさらされているとして、人格権に基づく妨害排除・予防請求権または雇用契約に基づく安全配慮義務履行請求権に基づき、詰所等の施設内を禁煙室とすることを求めるとともに、不法行為または安全配慮義務違反に基づき精神的苦痛に対する慰謝料各500万円および弁護士費用相当額各50万円等の支払いを求めたものである。
判決のポイント
(1)安全配慮義務・同義務違反の有無(作為請求)
Y社は、労働安全衛生法上、…快適な職場環境を形成する努力義務を負っている。そして、同法の規定に基づき労働省が公表した指針によれば、必要に応じ作業場内における喫煙場所を指定する等の喫煙対策を講ずることとされている。
また、Y社は、…健康増進法により、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずる努力義務を負っている。そして……
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平成17年7月18日第2545号14面 掲載