グラバス事件(東京地判平16・12・17) 経歴詐称で即時解雇したところ予告手当を請求 除外認定なくても支払不要

2005.06.13 【判決日:2004.12.17】
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 経歴詐称を理由として即時解雇した契約社員への解雇予告手当の支払いが争われた事案で、労基法20条1項ただし書の「労働者の責に帰すべき事由」に該当し、労基署長による除外認定がなくても客観的にその事由が認められる場合は、就業規則の定めにかかわらず同手当の支払い義務はないとした。

労働者の責に該当 就則規定に拘らず

筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)

事案の概要

 Y社は、コンピューターソフトウェアの研究開発、制作、販売などを業としているが、平成14年7月、コンサートチケット予約等サービス提供システム開発に従事するプログラマーを募集した。Xが経歴書を添付して応募してきたので、Y社は同月24日、Xを面接し、A取締役が50分にわたり経歴書について質問し、Xが本件開発に必要なJAVA言語のプログラミング能力があるとの前提で、同月30日に採用した。しかし、本件開発作業の過程でXにJAVA言語のプログラミング能力がないことが判明した。

 そこで、Y社は同年8月23日、Xが採用に際して右の能力がないのに有るかのような虚偽の経歴を申告したことは、就業規則86条3号の「重要な経歴を偽り採用されたとき」に該当するとし、Xに対し解雇する旨の意思表示をした。

 なお、Y社の就業規則82条は「懲戒解雇は労働基準監督署長の認定を受け予告期間を設けないで即時解雇し、認定を受けたときは予告手当を支給しない」と定めているが、Y社は右認定を申請していない。

 これに対しXは、Y社では解雇時に経歴詐称の事実を認識しておらず、経歴詐称が本件解雇の理由ではなくXが結果的にY社の要求するプログラミング能力がなかったとして解雇したもので、懲戒解雇ではなく即日の普通解雇であると主張し、仮りに普通解雇として有効だとしても、Y社の就業規則上、労基署長の「認定を受けたときは解雇予告手当を支給しない」と規定されているので、Y社が労基署長の認定を受けていない以上、Xに対し解雇予告手当の支払義務があるとして、その支払を求め提訴した。…

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平成17年6月13日第2540号14面 掲載
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