近共油業事件(大阪地判平16・10・15) 防災要員が夜勤中の仮眠時間に割増賃金を請求 指揮命令下の時間と認容へ

2005.05.02 【判決日:2004.10.15】
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 石油コンビナートの油槽所で自衛防災組織要員として深夜勤務に従事する従業員が、仮眠時間中の時間外割増賃金を請求したもので、労働時間でなく休憩時間と会社は主張したが、災害発生時の防災活動が義務付けられており、労働から解放されず使用者の指揮命令下に置かれていると認定、請求を認めた。

労働から“未解放” 休憩時間に当らず

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 会社(近共油業株式会社)に昭和52年4月から雇用され、石油コンビナート内油槽所の構内作業に従事していた労働者甲が会社に対し、平成14年3月13日から同年12月11日の間の54日分の時間外労働に対する割増賃金103万円あまりおよび付加金を請求したものである。

 会社は、油槽所の運営管理および構内作業等を業とし、労働者は28人である。1日の所定就業時間は8時間(始業時刻午前8時、終業時刻午後4時)で、休憩時間は1時間(午前12時から午後1時まで)である。

 会社では、平成14年2月18日以降、「深夜配送にかかる操業管理体制」を実施している。勤務体制として普通出勤日と夜間勤務日を設け、夜間勤務日は、午前7時に出勤し(早出1時間前)翌朝午前8時までの連続25時間拘束勤務としている。

 夜間勤務日の勤務形態は、構内の巡回業務を行う時間帯で「通常」、「早番」、「遅番」に区別される。巡回業務の開始は「通常」は午後9時、「早番」は翌日の午前2時、「遅番」は翌日の午前7時からそれぞれ開始する。また仮眠時間は、「通常」は午後11時~翌日の午前4時30分、「早番」は翌日の午前2時~午前4時30分、「遅番」は午後11時~翌日の午前2時とされている。…

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平成17年5月2日第2535号14面 掲載
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