第三銀行事件(津地判平16・10・28) 55歳以降の賃金減額拒み旧制度で支払い求める 受忍範囲で規則変更は有効
2005.04.25
【判決日:2004.10.28】
賃金減額を伴う55歳以降のコース別人事制度導入に同意しない少数労組の組合員ら26人が旧制度による賃金・賞与の支払いを求めたのに対し、減少幅は5~7%台と小さく、他に比べ人件費負担が高いなどを認定、不利益の程度は受忍範囲とし、内容の合理性や高度の必要性から就業規則の変更を有効とした。
小さい不利益程度 高度の必要性あり
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被告銀行は人事制度を変更して、複線型コース別制度を導入した。すなわち、平成11年4月1日時点で55歳に達していた行員を専任職に移行させ、55歳未満で管理職に達していない者には総合職と一般職を選択させることとし、経営職、管理職および総合職の者が55歳に達した時点で専任職に移行し、役職を離れる仕組みで、専任職に移行すると定例給与が減額されるものであった。
被告には、原告らが加入しまたは加入していた全国銀行労働組合連合会加盟の第三銀行従業員組合(従組)と、全行員の過半数で組織する全国銀行組合連合会議加盟の第三銀行労働組合(労組)があり、両組合の組合員数は、11年9月末時点で、従組28人、労組1457人であった。
被告と労組の間では、平成11年7月に行われた団体交渉で実質的に合意に達し、同年10月1日付で労働協約が締結された。被告と従組の間では、7回の団体交渉が行われたが、合意に至らなかった。…
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平成17年4月25日第2534号14面 掲載