テサテープ事件(東京地判平16・9・29) 出向先が能力不足とクレーム、営業マンを解雇 改善の見込みはないと認容
出向先から営業目標未達成などの理由で出向契約の解約を申し込まれた営業マンを、職務遂行能力の不足を理由として解雇したケース。新入社員でも達成できる計画を果たせないこと、成績向上のための会議にも欠席するなどの実態を認定、「他の職務には転換できない」として解雇を認容した。
新人にも劣る成績 職務転換は不可能
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、昭和61年5月工業用品、粘着テープ等の輸入・加工・販売等を行う被告会社に入社したが、解雇され、訴えの提起後、和解により復職した。しかし、社内に原告を処遇するポストがなかったため、訴外A社へ出向を発令したところ、原告は、この出向命令に対しても無効確認の訴えを提起した。しかし請求は棄却され、控訴・上告も棄却された。
その後、被告会社は、平成14年7月、原告に、被告会社製品の販売代理店であるB社への出向を命じ、原告は販売業務に従事した。
出向先のB社は、7月から12月までの6カ月間の原告の粗利目標を60万円(月間10万円)としたが、7月から9月までの3カ月間の実績売上高は12万8000円、粗利益は2万8000円にすぎなかった。また、B社は、原告に対しB社就業規則に従い勤務し、B社の朝礼や会議に出席して営業上の情報を共有するよう要望し、被告会社も原告に対しその旨を話し勤務時間をB社に合わせるよう話したが、原告はこれに応じなかった。
その後も、原告の営業成績は劣悪であったため、B社は被告会社に対し、…
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