ユタカサービス事件(東京地判平16・8・6) 雇止めの警備員が雇用継続の期待を主張し提訴 7回の更新後で違法な解雇
7回も同一条件で労働契約を更新した後、職場内での喫煙などを理由に雇止めされた警備員が、雇用継続の合理的期待を主張した事案で、更新の手続などからその主張を認め、解雇権の濫用法理を類推適用し、さらに雇用管理の実態などを検討したうえ雇止めに合理的な理由はないと判示した。
濫用法理の類推で合理的な理由ない
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Yは、警備業務や電気通信設備等の保守点検業務を行う有限会社である。Xは昭和12年生まれで、平成7年7月16日以降、期間1年の警備員としてYに雇用され、同14年7月16日までの間、7回にわたり同一条件で労働契約の更新を繰り返した。
Yは同15年5月15日付で同年7月15日をもって労働契約を終了する旨の文書をXに対し送付した。Xは同月16日以降の労働契約の更新を求めたが、Yはこれに応じなかった。XはYに対し労働契約上の地位の確認と賃金の支払いを求めて訴えを提起し、Xの請求は一部認容された。
なお、Yでは期間の定めのある労働契約を締結している従業員が多く、契約更新については更新間近の対象者に新たな契約書を郵送して、署名押印後返送する手順がとられていたが、新契約書送付が新契約期間の開始後になることもあった。またYは平成10年3月、ユタカサービス労働組合との間で、パートおよびアルバイトの雇用契約最終期限を75歳の誕生日までとする協定を締結し、75歳以前に雇止めとなった者はいなかった。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら