鞆鉄道事件(広島高裁平16・4・15) 基本給カットの協約は無効と旧賃金の支払要求 手続に瑕疵、効力は及ばず
2005.02.14
【判決日:2004.04.15】
56歳以上の基本給30%カットを盛り込んだ労働協約の定めは無効として減額分の支払い等を求めたもので、協約締結は組合大会決議事項にもかかわらず決議されないまま締結した瑕疵があり、規範的効力は及ばないと判示、一審(広島地裁福山支判平14・2・15)の判断を維持し、会社側の控訴を棄却した。
減額も合理性欠く 混乱招く判示内容
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、被告の従業員である原告らが、被告の従業員のうち56歳以上の者の基本給を従前から30%減額する旨の労働協約の定めが、年齢による差別であり労働協約変更の内容と必要性において許されない不利益変更であって無効である等と主張して、原告らの従前の基本給額と減額後の基本給額の差額相当の賃金の支払いと、在籍している原告らについて、減額無効を前提とする基本給額の確認を求めた事案である。
判決のポイント
本件労働協約の締結は組合大会の決議事項とされているにもかかわらず、…組合大会で決議されたことはないし、また、不利益を受ける立場にある者の意見を十分に汲み上げる真摯な努力をしているとも認められないから、本件協約は、労働組合の協約締結権限に瑕疵があるといわざるを得ない。
なお、控訴人は、本件協約の内容に不満であるなら、臨時大会の開催を要求したり、組合執行部の不信任案を提出すべきであったのに、臨時大会は開かれておらず、また、…
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平成17年2月14日第2524号14面 掲載