医療法人社団X事件(東京高判平29・9・21) 業務上災害で保険料増額、処分取消しを求める 労災認定違法の主張認めず

2018.08.02 【判決日:2017.09.21】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 勤務医が労災認定された病院が、労災保険料の増額取消しを求めた行政訴訟。労災認定の違法性を争えるかが争点となった。東京高裁は、メリット制の対象事業主につき原告適格を有し、訴えの利益を認めたものの、結論として支給処分の違法性の主張は許されないとした。支給処分の早期安定を犠牲にしてまで、事業者の手続的保障を図る特段の事情は認められないとした。

労働者保護を重視 訴訟提起可能だが

筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)

事案の概要

 控訴人(医療法人社団)は、徴収法12条3項に基づくいわゆるメリット制の適用を受ける事業の事業主(以下「特定事業主」という)である。

 勤務する医師Dが脳出血を発症し、労災法に基づく休業補償給付および休業特別支給金の支給処分を受けたことに伴い、控訴人は、処分行政庁から、前年度よりも保険料額を増額した内容の労働保険料認定処分を受けた。

 そこで、控訴人は、本件認定処分は、違法な本件支給処分を前提としたものであり、違法であると主張して、本件認定処分のうち増額された保険料額の認定に係る部分の取消しを求めた。

 原審(東京地判平29・1・31)は、①特定事業主には、自らの事業に係る「業務災害支給処分」の取消訴訟についての原告適格が認められることを前提として、②労働保険料認定処分の取消訴訟において同処分の前提とされた業務災害支給処分の違法を主張することはできないとして、請求を棄却した。そこで、控訴人が控訴した。

判決のポイント

 ① 業務災害支給処分と労働保険料認定処分は、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成30年8月13日第3172号14面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。