安川電機八幡工場事件(福岡地裁小倉支判平16・5・11) 受注減で契約期間中のパートを整理解雇したが やむを得ない事由なく無効
契約期間中のパートを整理解雇したところ、長勤続パートが賃金の支払等を訴えたもので、期間満了前に実施するやむをえない事由がないとして整理解雇を無効に、また雇止めの意思表示を予告に含むと解したうえ、期間の定めのない労働契約と同視できる状態で、解雇法理の類推適用により無効と判示した。
削減効果は小さい 雇止めも権利濫用
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
Xら(X1とX2)は、採用時期は異なるが、会社の八幡工場で短時間契約従業員Dスタッフ(高所得希望のパートタイム労働者)として3カ月の雇用期間を定めて雇用され、X1は約17年間、X2は約14年間にわたり契約を更新してきた。Xらの最終の更新は平成13年6月21日付けで、雇用期間は同年9月20日までであった。
会社は、Xらを含むパート従業員のうち31人を整理解雇するため、X1に同年6月25日に、X2に同月26日に、それぞれ解雇を予告したうえ、同年7月25日、Dスタッフ就業規則9条、10条に基づき、X1を同日付けで、X2を同月26日付けで解雇する旨の意思表示をした。
判決のポイント
雇用期間内における本件整理解雇の有効性について
原告らは、被告との間で、いずれも平成13年6月21日から同年9月20日までの期間を定めた労働契約を締結しているところ、このような期間の定めのある労働契約は、やむを得ない事由がある場合に限って期間内解除(ただし労働基準法20条、21条による予告が必要)が許されるのであるから(民法628条)、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら