九水運輸商事事件(福岡地裁小倉支判平30・2・1) 通勤手当を定額払、パートは正社員の半分に? 交通費考慮せず相違不合理
2018.08.30
【判決日:2018.02.01】
パート4人が、正社員と通勤手当の額に差があるのは不合理として、未払分の支払いを求めた。手当は定額で、パートは正社員の半額の月5000円だった。裁判所は、職務の差異を踏まえても交通費の補てんという手当の性質から相違は不合理と判断。通勤時間や距離が正社員より短いといった事情もなかった。月3回欠勤で不支給とされ、皆勤手当と主張したが斥けられた。
性質は費用補てん 職務に差あっても
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Xら(パート社員)は、主に海産物の荷役業務を取り扱っているYにおいて期間の定めのある労働契約に基づき荷役作業に従事していた。
Xらは、各自、Yに対し、通勤手当が期間の定めのない労働者(正社員)の半額とされていることは労働契約法20条の禁止する不合理な差別に当たる等と主張して、労働契約または不法行為による損害賠償請求権に基づき、平成25年1月~26年12月までの通勤手当の差額合計12万円等の支払いを求めるとともに、不法行為による損害賠償請求権に基づき慰謝料等の支払いを求めた。皆勤手当をめぐる争いは紙幅の関係で省略する。
【正社員の通勤手当】
平成26年10月改定前…月額1万円。ただし、1カ月に出勤日の半分を超える欠勤があった場合、出勤日数×1000円もしくは1万円のうち少ない方を支給
10月改定後…5000円を上限
【パート社員の通勤手当】…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
平成30年9月3日第3175号14面 掲載