日本ケミカル事件(最一小判平30・7・19) 定額残業代上回るか確認できないと清算求める 実時間数の明示必須でない ★
2018.10.04
【判決日:2018.07.19】
定額残業代を時間外労働の対価とみなすには、労働者が割増賃金を上回るか認識できる仕組みが必要とした判決の上告審。相当する時間数や割増単価が不明で定額制を無効とした高裁に対し、最高裁は、手当が時間外労働等の対価である旨雇用契約書や賃金規程等に記され、原審判示の事情は必須とは解されないとした。時間外数と手当額は大きくかい離もしていなかった。
契約書で対価明確 勤務状況乖離せず
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、Yの運営する薬局で、薬剤師として勤務していたが、時間外・休日・深夜の割増賃金等を求めて提訴した。雇用契約書では、賃金月額に残業手当を含むとされ、給与明細書には、「月額給与」と「業務手当」が区分され、採用条件確認書には、「業務手当」の説明として、みなし時間外手当であるとされ、「時間外手当は、みなし残業時間を超えた場合はこの限りではない」との記載があった。賃金規程にも、業務手当を「時間外手当の代わりとして支給する」と明記し、Yと各従業員の間で作成された確認書には、業務手当月額として確定金額の記載と、業務手当は、時間外労働30時間分として支給する等の記載があった。…
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平成30年10月8日第3179号14面 掲載