ニチネン事件(東京地判平30・2・28) 即戦力の敏腕営業採用、期待外れと年俸半分に 退職と二者択一で減額無効
2018.10.11
【判決日:2018.02.28】
中途採用した約3カ月半後、営業成績を理由に年俸を半額にする同意を得たとする会社に対し、元営業マンが差額賃金を求めた。東京地裁は、会社側は面談で「すぐに解雇できる」と発言したうえで、「退職か給与半額か」の結論を翌日に出すよう迫ったとして、同意が自由意思に基づくとはいえないとした。退職を回避するため、やむを得ず減額を受け入れたとした。
猶予期間は“1日” やむなく本人同意
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被告会社との間で雇用契約を締結し、平成26年10月14日から被告の営業所で就労していた原告は、平成27年2月支給分の給与から賃金を減額され、同年7月20日に被告を退職した。原告は、①被告から退職(解雇)か給与半減かの二者択一を迫られ、本件賃金減額に同意せざるを得なかったものであり、同意は自由な意思に基づいてされたものでなく、本件賃金減額は無効であるなどと主張して、未払賃金等の支払いなどを求めるとともに、②被告の一連の行為は、退職強要に該当し、原告は、退職強要がなければ、退職日後も少なくとも同年10月20日まで被告において就労し、その間の給与を得ることができたなどと主張して、不法行為に基づき、上記期間の賃金相当額等の支払いを求めた。…
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平成30年10月15日第3180号14面 掲載