南海バス事件(大阪高判平29・9・26) 路線バス終着から出発までは“待機”と割増請求 乗客対応の義務なく休憩中
2018.10.25
【判決日:2017.09.26】
路線バス運転手が、ターミナル到着から出発までを「待機時間」として割増賃金を求めた訴訟の控訴審。会社はその間6分間のみ労働時間としていた。大阪高裁は、バスの移動や忘れ物の確認、清掃は6分間で可能で、残り時間を休憩と認定。車から離れることもでき乗客対応も義務とまではいえないとした。休憩中の実作業は申告する取決めだったが申告やその事実もなかった。
車離れることも可 6分で実作業完了
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
会社(被控訴人)が運行する路線バスの乗務員(運転手)である控訴人甲が、休憩時間から労働時間として扱われる時間を控除した時間(待機時間)を労働基準法32条の労働時間(実労働時間)に含めるべきであると主張して、会社に対して、待機時間分の時間外割増賃金の支払いを求めたものである。一審(大阪地判平29・3・24)は、甲の主張する待機時間は労働時間に該当しないと判示して、甲の請求を棄却した。甲は、これを不服として控訴した。本判決は二審(控訴審)判決である。本判決は、およそ以下のように判示して、甲の請求を斥けたものである。
判決のポイント
「労基法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい…
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平成30年10月29日第3182号14面 掲載