Yユニオンほか事件(東京地判平30・3・29) 労組がHPでセクハラ告発、会社の名誉毀損? 真実性あり正当な組合活動
2018.11.22
【判決日:2018.03.29】
労働組合のホームページに「セクハラ発覚」「会社隠ぺい」と掲載され、会社や加害者とされた役員が、労組などに名誉毀損の損害賠償を求めた。東京地裁は、セクハラを真実と認めたうえで、HPで労組が情宣活動することは一般的で、会社見解を併記し、加害者をイニシャルで表記するなど表現の態様も相当とした。正当な組合活動として許容される範囲内と請求を斥けた。
表現の態様も相当 賠償請求を斥ける
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
X1社の従業員で組織される労働組合であるY1は、組合のホームページ(以下、HP)において、X1社の執行役員兼営業本部長のX2が、代理店、特約店を招いてハワイでセミナーを行った際に、酔っぱらって代理店の女性の体を数回触るというセクハラを行い、また、会社がこれを隠ぺいした旨の記載をし、執行委員長Y2は、株主総会でX2のセクハラについて発言した。X1社のコンプライアンス委員会では、X2の行為はセクハラには該当しないと判断していた。
X1社は、HPの記載は名誉毀損に当たるとして、不法行為に基づき、無形的損害500万円の賠償等の支払いを求め、X2は、Y1およびY2に対し、HPの記載およびY2の株主総会における発言がいずれも名誉毀損に当たるとして、共同不法行為に基づき、慰謝料500万円などを求めて提訴した。…
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平成30年11月26日第3186号14面 掲載