井関松山製造所事件(松山地判平30・4・24) 同じ製造ライン配属の無期と有期で手当相違? 家族手当の不支給は不合理

2019.01.31 【判決日:2018.04.24】
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 無期契約者と同じ製造ラインで働く有期労働者が、賃金の相違は不合理として手当の支給などを求めた。松山地裁は、ミス発生時の対応など責任の程度は異なるが、有期も配偶者等がいて生活費が増えるのは同じとして家族手当の不支給を不合理と判断。その他住宅や精勤手当の賠償も命じた。賞与は寸志が支給され、正社員登用の実績があることも勘案して請求を斥けた。

扶養する立場同じ 賞与額は差を認容

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 Xらは、Y社との間で有期労働契約を締結している者(以下「有期」という)である。Y社と無期契約を締結している従業員(以下「無期」という)とXらとの間に、賞与、家族手当、住宅手当および精勤手当に関して不合理な相違が存在すると主張して、Y社に対して、当該労働条件の定めは労働契約法20条により無効であり、Xらには無期に関する就業規則等の規定が適用されることになるとして、主位的に、当該就業規則等の規定が適用されることを前提に賃金として、予備的に、不法行為に基づく損害賠償として、実際に支給された賃金との差額およびこれに対する遅延損害金の支払いを求めた。

判決のポイント

 1 職務の内容

 Xらと同一の製造ラインに配属された無期との間で、その定常業務の内容に…大きな相違があるとはいえない。

 業務に伴う責任の程度に関しては、作業ミスが発生した場合、…品質不具合の再発防止のための対応については、無期のみが、再発防止の継続及び改善対応を実施し、その責任を負う。…

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平成31年2月4日第3195号14面 掲載
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