NHK(名古屋放送局)事件(名古屋高判平30・6・26) 傷病休職中の「テスト出局」、賃金支払うべき? 試し出勤に最低賃金を適用
2019.02.07
【判決日:2018.06.26】
傷病休職期間の満了による解職を有効とした一審を不服として、元職員が控訴した事案。予備的に復職可否を判断するテスト出局中の賃金支払いを求めた。高裁は、作業が使用者の指示で行われその成果を享受している場合、指揮監督下の「労働」に当たると判断。制作に関与したニュース原稿は放映されていた。制度上無給でも、最低賃金法を適用し相当額の支払いを命じた。
指揮監督下の労働 制度上“無給”でも
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被控訴人協会の職員であった控訴人は、精神的疾病による傷病休職の期間が満了したことにより解職となった。控訴人は、同期間満了前に精神的疾病が治癒し、休職事由が消滅しており、解職が無効で、被控訴人との間の労働契約が存続していると主張して、①労働契約上の権利を有する地位の確認、②休職期間経過後の賃金および賞与の支払いを求めた。また、傷病休職中のテスト出局(いわゆる試し出勤、リハビリ勤務)により、労働契約上の債務の本旨に従った労務の提供をし、途中でテスト出局が中止され労務の提供をしなくなったのは被控訴人の帰責事由によるとして、③テスト出局開始から傷病休職満了までの期間について、職員給与規程による賃金等の支払いや、テスト出局の中止や解職に至ったことに違法性があると主張し、④不法行為に基づく損害賠償金(慰謝料)等の支払いを求めた。…
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平成31年2月11日第3196号14面 掲載