京王自動車事件(東京高判平11・10・19) 同僚の乗務を阻害したタクシー運転者を懲戒解雇 地裁の“過酷”くつがえす
2000.02.14
【判決日:1999.10.19】
無線ルール違反と車のキー持ち去る
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Y社のタクシー乗務員のXは、平成9年6月21日午後8時40分頃、乗務中に同僚の乗務員Kとの間で、無線ルールの違反の有無をめぐってトラブルになり、Kのタクシーのエンジンキーを抜き取って乗務できないようにした。そのため、Y社F営業所のA所長は、Xに対し同月27日付で翌28日からの出勤停止を命じた。その後、Y社は、7月1日、本社において、Xから事情聴取をするなどして、同月7日付で、Xを懲戒解雇した。
Xは、これを不服として提訴し、①A所長が右懲戒解雇に先立ち出勤停止命令を発したことは、Y社の就業規則79条4項による懲戒処分であるから、本件懲戒解雇は二重処罰に該当し無効、②本件のような軽微な規律違反に対し懲戒解雇をもってのぞむことは、懲戒権の濫用であって無効、と主張した。
これに対し、東京地裁平10・11・24判決は、①Y社のした出勤停止は、懲戒処分ではなく、調査又は処分を決定するまでの前置措置として就業を禁止した業務命令にすぎず、本件懲戒解雇は二重処罰に当たらないが、②Xに対する懲戒解雇は、Xの行為の程度と比較して過酷であるといわざるをえず、解雇権の濫用に当たり無効だとした。
Y社が東京高裁へ控訴した。…
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平成12年2月14日第2284号13面 掲載