池添産業事件(大阪地判平11・1・27) 大阪の自車輸送を閉鎖、福岡への配転拒否者を解雇 認められない正当な理由
2000.02.28
【判決日:1999.01.27】
全港湾労組を敵視 組合員排斥が狙い
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
福岡県に本店を、神戸と東京に営業所を置き、貨物運送業等を営む会社は、平成7年1月の阪神淡路大震災によって神戸港施設が破壊されたため、阪九フェリーが着岸港を神戸港から泉大津港に移転したのに伴い、神戸営業所を大阪営業所に新設移転し、労働者Aらを配転した。Aらは全港湾労働組合池添分会の組合員である。
会社は、賃金基準を改訂して平成6年1月分から実施した。それによると、地域手当8万5000円が5万円に、残業手当(月21日以上勤務の乗務員に対し走行距離に応じて支給)の単価を10キロメートル当たり2490円から2240円に、手積卸手当(重量によって異なる)20トン以上の場合5000円から4000円に、それぞれ減額した(本件賃金改訂)。
会社は、神戸営業所の業績が悪かったことに加え、震災により回復しがたい業績不振に陥ったため、平成7年7月末日をもって大阪営業所を閉鎖すると説明して、同年8月1日付で、所長を除く営業所全員に本社への配転命令を発した(本件配転命令)。しかるにAらが右配転を拒否したため、会社は同月末日付でAらを解雇した(本件解雇)。…
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平成12年2月28日第2286号13面 掲載