日本ポラロイド事件(東京地判平15・3・31) 中途採用者が退職、入社時支給の一時金返せ 返還約定は労基法16条違反
2004.02.02
【判決日:2003.03.31】
ヘッドハンティング会社を通じて採用する上級社員に支給した入社時の一時金(サイニングボーナス)について、1年以内の自発的退職に対する返還約定をもとに、200万円全額の返還を求めたが、同約定は労基法5条(強制労働の禁止)、同16条(賠償予定の禁止)に反し無効として棄却された。
1年の拘束を意図 経済的足止め策に
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Xは、米国留学等の経歴の後、平成13年5月15日、Y会社との間で、同年7月1日付でXをY会社の従業員として採用する旨の雇用契約を締結し、Y会社のデジタルカメラ販売計画策定等の業務に従事した。
XとY会社との間の雇用契約のうち、Xの報酬に関する約定は次のとおりであった。
① 現金報酬総額
平成13年度は1650万円である。給与の見直しは1年毎に行う。初回の見直しは平成14年4月前後の予定である。
② サイニングボーナス
雇用開始以降直ちに200万円を支払う。Xが雇用開始から1年以内に、自発的にY会社を退職した場合には、これをY会社に全額返還する。…
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平成16年2月2日第2475号14面 掲載