全国信用不動産事件(東京地判平15・5・7) 55歳時賃金の減額措置適用、不当と差額を請求 人件費削減 高度の必要性ない
2004.03.01
【判決日:2003.05.07】
55歳到達者の賃金減額措置を盛り込んだ平成5年改正の就業規則を適用したところ、変更前との差額を請求された事案で、定年延長措置と一体との会社主張を斥け、経営改善に講じた措置は同減額策だけで人件費削減の高度の必要性はなく、代償措置もないとして、就業規則変更の合理性を否定した。
規則の変更は無効 代償措置も採らず
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
会社は、昭和35年8月設立の信用金庫の事業用不動産取得等を主業務とする株式会社で、甲は昭和48年4月に入社、平成14年7月以後、本社営業グループ係長として働いている。
会社は、平成5年3月31日、55歳到達者の処遇につき、就業規則・給与規程を改正(以下、本件変更)。甲は平成12年2月25日に満55歳になり、改正後の給与表により月例給与50万6720円から41万9340円に減額され、定期昇給もなくなり、賞与も減額された。
甲は、変更された就業規則に基づき給与等を減額されたのは不当で、本件変更は無効であると主張し、変更前の給与等との差額の支払を求め提訴した。…
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平成16年3月1日第2479号14面 掲載