大和交通事件(大阪高判平11・6・29) 労働組合がタクシー45台の出庫を違法ピケで阻止 委員長の懲戒解雇は正当

2000.03.20 【判決日:1999.06.29】
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10台に横断幕張ってパレード参加も

筆者:弁護士 井上 克樹

事案の概要

 本件は、タクシー会社の労働組合(以下、カイナラ労組という)が、違法争議を行ったとして、カイナラ労組の執行委員長が懲戒解雇されたものである。

 判決の認定による違法争議行為等は、次のようなものである。

 ①平成8年4月8日、同月9日、同月15日と、会社車庫でピケを実施し、会社の業務命令で乗務しようとした延べ45台のタクシーの出庫を実力で阻止した。②カイナラ労組員2名が、4月8日のスト中、駅前で客待ちをしていた他労組所属の運転手3名に暴言を吐いて脅迫し、タクシー乗務を断念させた。③会社のタクシー10台に無断で、スローガンを記載した横断幕を張り付け、市内を約40分間タクシーパレードした(ただし、この間の運賃は会社に納入している)。④平成8年4月21日、入庫しようとした運転手に対して当該執行委員長は、「元盗人、わしは元暴力団や、なめたらただでおかんぞ」等の暴言を吐いた上、ネクタイを引っ張る等の暴行、脅迫行為をした。

判決のポイント

 ①実力行使を伴うピケについて。「ストライキは必然的に企業の業務の正常な運営を阻害するものではあるが、その本質は労働者が労働契約上負担する労務供給義務の不履行にあり、その手段方法は、労働者が団結してその持つ労働力を使用者に利用させないことにある。…

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平成12年3月20日第2289号13面 掲載
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