東京ゼネラル事件(東京地判平11・4・19) 退職届提出後の懲戒解雇処分と退職金不支給は 効果発生後で支払い義務
2000.04.24
【判決日:1999.04.19】
退職届を机に入れ “引継もなく失踪”
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
商品取引等を業とする東京ゼネラル会社に対して、自己都合退職を主張する原告甲(同社営業本部第3ブロック仙台支店長であった)が、退職金の請求をしたところ、会社は、甲を懲戒解雇したことを理由に退職金請求権がないとして、これを争った事案である。
判決のポイント
甲は、平成8年8月13日、自己が使用していた机の引き出しの中に本件退職届を入れて会社仙台支店を退出したものであるところ、退出前にD係長に本件退職届の所在を知らせているのは、退出後にそれが会社の従業員らによって容易に発見されて、速やかに会社に到達する事を企図したことによるものと見ることが出来る。
そして、同日、Aが、甲の使用していた机の引き出しの中から本件退職届を発見し、電話口で本件退職届の内容を読み上げたことによって、同日午後5時過ぎ頃、甲の退職願の受領権限を有するB部長が本件退職届の内容を知ったものであるから、この時点で、甲の退職の意思表示は会社に到達したものと認めることができ、したがって、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
平成12年4月24日第2294号13面 掲載