徳島南海タクシー事件(最決平11・12・14) 歩合給制度における割増賃金の定額払いの可否? 確定支給でないとダメ
2000.05.29
【判決日:1999.12.14】
水揚げが減っても減額ないのが前提
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
XらはYタクシー会社の乗務員で、Z組合の組合員である。Y社と組合との間において締結された協定書の賃金体系によると、乗務員の賃金は、基本給、乗務給、精皆勤手当、超勤深夜手当と、水揚額が責任水揚額を超えた場合には、その水揚額に所定の賃金比率を乗じて得られた金額から、基本給、諸手当の合計額を控除した額を歩合加給として加算するとされていた。
Xらは、Y社の賃金体系は歩合給であり、Y社は、時間外・深夜労働の割増賃金を支払っていないと主張し割増賃金の支払いを求めた。これに対し、Y社は、本件賃金協定書には、「超勤深夜手当(歩合割増含)5万600円」と明記されているとおり、労基法37条の定める時間外・深夜割増賃金を含むものであり、これには固定給に対応するものだけではなく、歩合給に対応する割増賃金をも含むものである。また、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外・深夜割増賃金に当たる部分が明確に区別でき、支給されてきた時間外・深夜手当の額と労基法37条に従って正確に算定した支払われるべき割増賃金との金額の過不足も計算できるから、本件協定書による割増賃金の合意は有効であるとして争った。…
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平成12年5月29日第2298号13面 掲載