三和事件(東京地判平12・2・18) 営業から業務部への配転命令拒否に懲戒解雇処分 配転命令は有効、解雇は無効
2000.07.03
【判決日:2000.02.18】
回避のための努力つくされていない
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Y社では、業務部における梱包等の現場作業の大半を外注していたが、外注費削減のため自社の従業員に当該業務を担当させることとした。そこで、他部署から要員を捻出することになったが、営業部営業一課、二課では、最も考課の低かったXら2名を人選し、業務部流通センターへの配置転換を命じた。
Xらは、この配転を拒否し、配転命令と前後して労働組合を結成した。Y社は一度、団体交渉を行ったが、その後は組合結成は配転命令後であるとして交渉を拒否し、配転命令拒否を理由にXらを懲戒解雇した。Xらは配転命令の無効、懲戒解雇の無効を主張し、所属を元の部課とする雇用契約関係が存在することの確認と、賃金の支払いを求めて提訴した。
判決のポイント
1、配転命令権の存否について(職種等が特定されていたか否か)
Xらが採用された際の求人カードには、「職種役職名・営業課長」「転勤の可能性・無」等の記載があったが、就業規則を遵守する旨の誓約書をとっていること、従前の配置転換の例などから、Y社としては、課長職登用の人事権や就業規則に定めた配転命令権を制限する内容の契約を締結する意思はなかったと認められる。…
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平成12年7月3日第2303号13面 掲載