エープライ事件(東京地判平15・4・25) 競合先へ顧客情報提供等背信行為に賠償認める 忠実義務に反すると認容
2004.04.26
【判決日:2003.04.25】
支社責任者の背任的加害行為に対し、会社が損害賠償を求めたもので、顧客に競合会社を紹介した行為等は雇用契約上の忠実義務に違反、会社の利益を侵害する違法行為と判断したが、不正行為がなければ受注した蓋然性が高い場合に損害を限定、損害額は原告主張の市場価格を斥け、仕入価格で算定した。
損害の範囲を限定 算定は仕入価格で
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
会社(㈱エープライ)は、各種工業用・家庭用電気機械器具の販売・設置等を業とし、福岡市に九州支社がある。甲は、平成5年7月1日、会社に雇用され、平成11年7月頃まで九州支社の責任者だったが、平成11年8月6日懲戒解雇された。
甲は在職中、業務上の必要性がないのに会社の自社製品を第三者に送付するよう部下に指示して機密に属する同製品の構造等を了知可能な状態におき、かつ、会社が受注予定であった売買の買主を甲の出資先である同業他社に紹介するなどして取引を失注させるなどした。
会社(原告)は、甲(被告)の右行為により損害を被ったとして、甲に対し雇用契約の不履行または不法行為に基づいて損害賠償を求めて、訴えを提起した。…
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平成16年4月26日第2486号14面 掲載