芝浦工業大学事件(東京地判平15・5・27) 大学教員の定年引下げ、就業規則改正は有効か 不利益の受忍は許容できる
2004.05.31
【判決日:2003.05.27】
70~72歳に設定していた理系単科大学教員の定年年齢を、65歳に引き下げる就業規則改正を行ったが、この不利益変更の効カを巡って争われたもので、高齢教員の人件費削減の必要性を認め、退職金加給などの代償措置などを評価、不利益を法的に受忍させるだけの高度の必要性と合理的な内容と判示した。
高度の必要性あり 代償措置も十分と
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
被告大学において、既往の教員の定年年齢は、昭和46年6月から平成2年3月までに採用された者は70歳、それ以前に採用された者は72歳だったが、平成13年4月に就業規則を改正、施行日以降の新規採用者の定年年齢は65歳、既往の教職員は平成13年から従来の定年年齢を毎年1歳ずつ引き下げ、19年度に一律65歳とするとした。
被告大学は就業規則の変更に際し、①定年年齢引下げ対象者に対し、従来の退職金支払いのほか、引き下げられた年数に対し年10%の加給を行う(72歳の定年であった者の加給金は、退職金の70%(=10%×[72歳-65歳])分、1.7倍の退職金加給措置を受ける)。②定年年齢引下げ対象者が、65歳の新定年前に早期退職する場合、①の退職金加給措置に加え退職年齢から65歳までの年数に7%を乗じた割合の加給措置を行う。…
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平成16年5月31日第2490号14面 掲載