日本オラクル事件(東京地判平15・11・18) 承認なく退職した早期退職応募者が割増金請求 解約申込みに過ぎず不当
会社が募集した早期退職制度に応募し、会社が承認しない段階で退職したため特別退職金を支払わなかったことについて、退職従業員が他の制度適用者との平等取扱いを求めたが、制度への応募は雇用契約の解約合意に向けての申込みに過ぎず、会社の承認で解約承諾になるとし、原告の主張を斥けた。
会社が適否を判断 慰留や説得も無視
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
会社は、平成14年12月19日、早期退職制度(本件プログラム)を公表した。その制度の特別退職金等は、退職を選択する従業員にとって、魅力のあるものであった。公表された会社の文書中には、本件制度適用の手続として、適用対象者である従業員の応募に対し、応募確認後に、会社が承認をするか否かの意思決定があり、本件制度の適用の有無に応じた手続が記載されていた。また、本件制度の適用を受けずに自己都合で退職する場合の離職票への退職理由は会社都合ではなく、自己都合退職となるとの記載があった。
平成14年11月19日ころ、原告は、上司に対し、2、3社から転職の誘いが来ていることを告げた。上司は、その際、原告が、システム統合について購買部門に関する日本側の責任者を務める立場にあり、この経験は、今後会社内部でのコンサルタントへの転身に生かすことができるとして、慰留した。
平成14年12月19日、本件制度が公表され、上司は、総務部員全員に対し、本件制度の実施要綱等の説明会を実施した。説明会の後、上司は原告を残して個別面談を行い、会社に残留することを強く説得した。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら