東海技研事件(東京地判平15・8・1) 委託契約解除したら雇用契約理由に賃金を請求 勤務実態に使用従属性なし
2004.06.21
【判決日:2003.08.01】
建設資材の委託販売員が会社と別名義で工事請負活動を行ったため、業務委託契約を解除したところ、会社との契約は雇用契約だと主張し賃金の支払いを求めた事案で、労働者性は使用従属関係があるかどうかにより判断すべきとし、会社の指揮監督の下に労務を提供していないと実態を認定、棄却した。
労働者性を認めず 委任に類する契約
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
会社(㈱東海技研)は住宅設備機器の卸販売、取付工事、屋根工事および瓦・スレート等の販売を業とし、甲は平成10年9月頃、同社の委託販売員となり業務委託契約書を締結した。
契約書によると、甲が行うべき業務内容は、顧客に対する会社の業務の説明並びに会社の工事請負契約申込みの勧誘および募集、それに付随する業務であった。業務遂行にあたって支出する費用は委託販売員が負担すること、会社の指定する車両や服装を使用・着用することとなっており、受託業務を遂行した日は当日午後4時までに報告することが定められていた。
委託販売員の勤務時間については何ら定めはなかった。もっとも委託販売員は、2から3人の班単位で行動するため、各班ごとに自主的にミーティングを行っていた。委託業務契約を遵守させるための指導、教育、管理を除き、会社は委託販売員に対して指揮命令をしてはならないと定めており、会社からの指揮監督はとくになかった。…
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平成16年6月21日第2493号14面 掲載