日本レストランシステム事件(大阪地判平15・10・24) 退職届の撤回申出を拒否、権利の濫用になる!? 承諾の意思表示で合意成立
セクハラ行為が問題となった管理職が退職届を提出したものの、その後、撤回を申し入れたが拒否されたため、人事権の濫用などを理由に地位確認と賃金支払いを求めて提訴したケースで、使用者の退職承認で労働契約の解約合意が成立し、退職強要などの事実はなく権利の濫用とはいえないと棄却した。
労働契約は“解約” 先後関係が争点に
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、Y社に、管理職として勤務していたが、アルバイトの女性に対する執拗なメール送信がセクハラ行為として問題となり、平成14年5月17日に、本部長に対し「一身上の都合により退職致したいのでご承認くださいますよう宜しくお願いいたします」との退職届を提出した。その時点では退職日は空欄であったが、慣例により残年休の消化後に退職することとし、年休日数の計算の結果、同月30日、退職日7月26日と確定し、その後、年休を取得していた。ところが7月25日、XはYに対し、退職届を撤回する旨の通知書を交付した。Y社はこれに対し、撤回は認められないと回答。
Xは、①退職の承認がある前にXが退職の意思表示を撤回したから、退職の効果は生じていないとし、また、②仮に会社の承認の意思表示があったとしても、退職の承認は人事権の濫用であるから無効である、あるいは③退職の意思表示は身の潔白が証明されれば撤回するという条件付きのものであった、④錯誤・強迫による退職の意思表示であるから無効等と主張し、労働契約上の地位確認および賃金支払いを求めて提訴した。…
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