テンプロス事件(東京地判平15・10・22) 派遣社員の犯罪行為で契約解除、責任は元・先どちら 指揮監督困難でも派遣元に
2004.07.12
【判決日:2003.10.22】
派遣料金の支払いを求められた派遣先会社は、派遣社員の申込書偽造により業務委託を打ち切られたことを理由に損害賠償金を請求したもので、不法行為の使用者責任は派遣会社にあるとしつつ、派遣元は就労中の指揮監督が容易でないこと、派遣先にも不注意があったことなどから、5割の過失相殺を認めた。
受入側にも不注意 5割の過失相殺を
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Xは労働者派遣事業等を目的とする株式会社で、Yは情報機器、システムを媒介とする業務代行サービス等を目的とする株式会社である。XはYとの間で、Xが雇用する労働者をYに派遣し、Yの指揮命令の下でYのマイライン申込獲得業務に従事させ、YがXに対し派遣料金を支払うことを内容とする労働者派遣契約を締結した。
Xは同契約に基づき、平成13年3月4日から4月30日まで甲らを派遣し、マイライン申込獲得業務に従事させたが、Yが派遣料金を支払わないため、XがYに対し派遣料金等の支払いを求めた。これに対し、YはXが派遣した派遣労働者甲らが申込書を偽造し、これが原因でNTTからの業務委託が打ち切られ、これにより営業上の損害を被ったとしてXの請求権を相殺するとともに、損害賠償金の支払いを求めた事案である。判決は、Xの請求を一部認容した。…
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平成16年7月12日第2496号14面 掲載