JT乳業事件(金沢地判平15・10・16) 違法製造で会社解散、解雇従業員らが賠償請求 経営責任認め慰謝料命じる
2004.07.19
【判決日:2003.10.16】
違法な牛乳製法が社会的指弾を浴び、株主総会での会社解散決議に基づき全従業員を解雇したところ、元従業員らが代表取締役の任務懈怠に原因があるとして損害賠償を求めたもので、経営者の損害賠償責任を認めつつ、将来の賃金など損害が把握できないとして各自300万円の慰謝料の支払いを命じた。
再就職の苦労斟酌 妥当と思えぬ判旨
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
被告は、牛乳等乳製品の製造販売を業とする株式会社(以下「会社」という)の代表取締役であったが、会社のM部長が、加工乳等の再利用(以下「再利用」という)を食品衛生法により禁止する行政官庁の指示に反し、加工乳を原料に再利用し牛乳を製造したため、学校給食等においてその牛乳を飲んだ児童生徒380人以上が食中毒となり、K保健所は、会社に対し乳製品の製造業等について無期限に営業一切の禁止を命じ、各新聞等が大々的に報道した。
会社は、株主総会において解散が決議されたとして、従業員全員を解雇した。そこで従業員が、被告は取締役として忠実に職務を遂行する義務があるところ、任務懈怠により禁止されていた牛乳の再利用が行われ、その事実が明るみに出、本件営業禁止命令がなされ、これが原因となって会社は解散し、原告ら従業員は解雇されたとして、解雇により被った損害(将来の賃金相当額、定年まで勤務していた場合での退職金差額、慰謝料等)を請求した事案である。…
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平成16年7月19日第2497号14面 掲載