損害賠償請求事件(大阪地判平30・3・1) 行政訴訟では労災不支給、民事の損害賠償は? 82日連続勤務しうつ病発症
うつ病を発症し自殺した店長の遺族が、会社らに損害賠償を求めた。大阪地裁は、82日連続勤務と月100時間以上の時間外労働を認め、心理的負荷を「強」と認定。飲酒の影響で仕事に支障が出ていたが、業務と発病、自殺の相当因果関係を否定するものではないとした。代表取締役らの使用者責任も認めた。労災不支給処分の取消訴訟では、休日労働の事実を認めず処分は確定していた。
使用者責任を認容 飲酒で仕事支障も
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
本件は、手打ちそばおよびうどん等を店舗および宅配で客に提供する飲食店の経営を行う有限会社(以下YA)の調理師Fが自殺したことについて、会社らに損害賠償金の支払いを求めた事案である。
Fの相続人であるXは、Fの死亡の原因を、YAおよびFが出向していたYAと同様の経営を行う株式会社(以下YB)での過重な長時間労働等によってうつ病エピソード(以下「本件疾病」)を発症したことにあり、両社並びにY両社の代表取締役または取締役であり労務管理の責任者であったYC、YEおよびYD(以下「YCら」)には、Fを長時間労働等の過重な業務に従事させた故意または過失があるなどと主張した。本判決は、Xの請求を一部認めた。なお、Xは、国に対して労災認定を求める訴訟(以下「別件訴訟」)を提起していたが、大阪地裁(平28・5・30)において請求を棄却され、大阪高裁(平28・11・25)においても控訴を棄却され、確定した。…
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