明治生命保険事件(東京地判平16・1・26) 帰国1年余で退職した社員に留学費返せと提訴 貸借合意認め返還命じる
2004.08.23
【判決日:2004.01.26】
アメリ力留学に際し「帰国後5年以内の自己都合退職の場合は費用全額返還」の誓約書に基づき、1年余で退職した社員に費用の返還を求めた事案で、「金銭消費貸借の合意」が成立しており、留学には業務性を伴わず、労基法第16条にも違反しないとしたうえ、学費部分に範囲を限定して返還を命じた。
労基法に反しない 範囲は学費分のみ
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
X社に勤務していたYは、社内の留学制度に応募して選抜され、米国留学により経営学修士号(MBA)を取得した。Yは、留学に際して、「この度、社命により留学することとなりました。留学終了後、5年以内に、万一自己都合により退職する場合は、留学費用(ただし、人件費相当分を除く)を全額返還いたします」との誓約書に署名押印し、会社に提出している。
ところがYは留学終了後、帰国から13カ月で自己都合によりX社を退職した。X社は、本件留学費用は、留学後5年間勤務した場合は返還義務を免除する旨の消費貸借契約により、X社がYに貸し付けたものであると主張し、返還を求め提訴した。…
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平成16年8月23日第2501号14面 掲載