大阪地労委(O運輸労組・S商会)事件(大阪地判平15・11・26) 破産による解雇は不当労働行為との労委判断は 組合潰しとの認定を覆す
2004.08.30
【判決日:2003.11.26】
会社の破産は労組潰しの不当労働行為で、営業譲受会社もともに責任を負い雇用問題に誠実協議すべし――との労委救済命令を不服として労使双方が行政訴訟に及んだ事案で、破産会社に組合消滅の意図はないと認定、譲受会社の役員構成など支配の要件などから実質的同一性を否定し、命令を取り消した。
偽装解散にあたらず 譲受先に同一性なし
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
A社(破産会社)はタンクローリー車による石油製品の運送をしていたが、経営不振に陥り破産宣告を受けた。また同社の役員等も破産宣告を受けた。破産管財人は全従業員を解雇し、また破産会社のタンクローリー車を原告会社に売却譲渡した。
一方、原告会社は破産会社の元代表取締役会長の長男が代表取締役としてA社と同一住所に設立されていたが、A社は破産申立以前から原告会社に乗務員を出向させ、タンクローリー車、車庫等を業務移管し、破産会社の業務停止後、原告会社は従前と同様の運送業務を開始した。
原告組合は、A社とは実質的に同一会社であるとして、大阪地労委に対し原告会社、A社および管財人(後に取下げ)を被申立人として、本件破産の申立および組合員の解雇は組合壊滅を目的とした不当労働行為に当たるとして、解雇の撤回などを求めて救済申立をした。…
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平成16年8月30日第2502号14面 掲載