イセキ開発工機事件(東京地判平15・12・22) 大幅な債務超過に陥り出向社員を解雇したが… 4要件揃って満たさず無効
2004.09.06
【判決日:2003.12.22】
大幅な債務超過に陥り、相当数の人員削減が求められたため、出向している社員に整理解雇の通告を行ったところ、解雇権の乱用として労働契約上の地位の確認、賃金の支払いを求め提訴したもので、整理解雇の4要件のいずれも満たさず、合理性を欠くとして解雇無効を判示した。
必要性も合理性も 回避の努力もない
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Y会社は、昭和46年6月に設立され、下水道関連事業を主要業務とする株式会社であり、XはY会社に雇用され、甲社に出向して勤務していたが、平成14年7月22日、同日限り解雇する旨の意思表示がY会社からXに対してなされたところ、Xは、当該解雇は就業規則所定の解雇事由がなく、また解雇権の濫用に該当するとして、Y会社に対して労働契約上の地位の確認、解雇後の貸金月額24万5000円等の支払いを求めた。判決はXの請求を一部認容した。
判決のポイント
人員削減の必要性
Y会社は大幅な債務超過となっており、本件通達時点で相当多数の人員を削減する必要があったことは認められる。しかし、次の点を考慮すると、本件解雇時点でさらに人員削減の必要があったのか疑問が残る。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
平成16年9月6日第2503号14面 掲載