高見澤電機製作所事件(長野地裁上田支判平16・2・27) 給与規程記載の定昇見送りは不法と賠償求める 昇給額の規定はないと棄却
2004.09.20
【判決日:2004.02.27】
年1回の昇給を定めた給与規程を根拠に、定昇不実施は違法だとして債務不履行または不法行為による損害賠償を求めたが、昇給の内容は毎年の団体交渉で決定されており、具体的昇給基準のない就業規則・給与規程からは法的義務は生じないとし、また労使慣行による法的拘束力もないとして棄却した。
団交での決定事項 法的拘束力を否定
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Y社では、就業規則やこれを受けた給与規程において、昭和30年度および昭和34年度から38年度については、定期昇給およびその具体的昇給基準(昭和34年3月21日から実施された給与規程には、本給表に基づき標準4号とし、最高6号までとする)が定められていた。
しかし、昭和35年度から38年度の定期昇給については、Y社と労働組合との間の協定において、給与規程に定められた具体的昇給基準と異なる基準が合意され、この合意に基づいて定期昇給が実施された。この経過を受けて、昭和38年7月21日に実施されたY社の給与規程では、「昇給は年1度、3月21日定期とする」とだけ定められ、具体的昇給基準は削除された。この改定後の規程が現行の給与規程の定めとなっている。そして、昭和39年度から平成10年度までの具体的昇給基準は、昭和51年度を除き、Y社と労働組合との交渉を経て締結された協定に基づき実施された。…
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平成16年9月20日第2505号14面 掲載