トヨタ車体事件(名古屋地判平15・9・30) 懲戒解雇のリベート受領社員が退職金支払えと 請求は信義則に反し失当 ★
2004.09.27
【判決日:2003.09.30】
発注権限を濫用し、下請会社から高額のリベートを受領した課長職を就業規則にそって懲戒解雇し、退職金を全額不支給としたところ、退職金の支払いなどを訴えたもので、実質的な懲戒解雇事由が存在するとともに、その事由は軽微なものといえず、原告の退職金請求は信義則に反し許されないとした。
軽微ではない事由 情状を考慮しても
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告は会社に昭和34年に入社し、主にデザイン部にデザイナーとして勤務し、平成2年以降、デザイン部主担当員(課長職)であった。原告は、平成2年頃にかけて社内での発言力を強め、デザイナーとしての実質的発注権限を確保し、これを利用して、業務上関連のある取引先に対し、圧力をかけたりするようになった。また、原告は、平成4年にT社を設立して、その代表取締役に就任した。
会社は、原告が発注権限を濫用して下請会社2社から1800万円以上のリベートを受領したとして懲戒解雇し、退職金不支給とした。
判決のポイント
①懲戒解雇は、使用者が被用者に対して課する制裁罰の一種であり、(ア)就業規則にその解雇事由に関する定めがあって、…
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平成16年9月27日第2506号14面 掲載