グレイワールドワイド事件(東京地判平15・9・22) 会社PCで上司誹謗の私用メール、解雇は? 職務専念義務に反しない
2004.11.01
【判決日:2003.09.22】
会社のパソコンから私的な電子メールを送受信し、上司に対する誹誘中傷を行ったとして解雇した効力が争われたもので、電子メールの私的使用は1日2通程度で職務専念義務に違反したとはいえないとし、上司への批判は使用者への誠実義務の観点から不適切だが背信性は低く解雇は無効と判断している。
1日2通程度なら 批判も背信性低い
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、昭和54年2月被告会社に採用され、平成11年からは主に秘書業務、英文による情報提供業務、翻訳業務等に従事していた。原告は、平成13年5月23日から6月19日までの出勤日20日間に、被告会社から貸与されたパソコンを使用して、私用メール49通(うち、送信35通、受信14通)を送受信したが、そのうち就業時間内に行われたものは39通(うち、送信33通、受信6通)であった。この私用メールにおいて、原告は被告会社内部のみならず、外部に対しても経営批判を繰り返し、その内容は被告会社CEOのことを「アホバカCEO」と評し、あるいは「気違いに刃物(権力)」など上司に対する批判が含まれていた。
そこで、被告会社は、原告に事情聴取したが、原告には反省の意思も被告会社経営陣の指示に服する考えもないことが判明したため解雇したものである。…
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平成16年11月1日第2511号14面 掲載