ハクスイテック事件(大阪地判平12・2・28) 能力主義・成果主義への給与規定改定の効力は? 不利益変更に当たらない
2000.07.31
【判決日:2000.02.28】
高度な必要性に基づく合理性認める
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、被告会社の従業員である原告が、被告における平成8年3月21日付けの給与規定の変更及び平成11年1月1日付けの退職金規定の変更が、いずれも不利益変更であり、かつ不利益変更について合理性のない無効なものであるとして、被告に対し、変更前の給与規定及び退職金規定が現に効力を有することの確認を求めた事案である。
右給与規定の変更は、年功賃金制度から能力主義・成果主義の賃金制度に変更するものである。また、右退職金規定の変更は、勤続年数を基に退職金額を算定する方式から職能制度を基礎にしてポイント加算により算定する方式に変更するものである。
判決のポイント
新給与規定は、能力主義、成果主義の賃金制度を導入するもので、評価が低い者については不利益となるが、普通程度の評価の者については、補償制度もあり、その不利益の程度は小さいというべきである。不利益といっても、賃金規定改定時の賃金とは大差なく、……被告の経営状態がいわゆる赤字経営となっている時代には、賃金の増額を期待することはできないというべきであるし、普通以下の仕事しかしない者についても、高額の賃金を補償することはむしろ公平を害するものであり合理性がない。そして……新給与規定の実施により、8割程度の従業員は、賃金が増額している。…
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平成12年7月31日第2306号13面 掲載