日本ヒルトンホテル(本訴)事件(東京地判平14・3・11) 労働条件の不利益変更を異議留保付で承諾 解雇の正当理由にならず ★
2003.01.20
【判決日:2002.03.11】
同意しない労働者に対し就労を拒否
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
Xらは、職業安定法に基づき「配膳人」の有料職業紹介事業を営む会社から斡旋を受けYホテルの日々雇用のスチュワード(ホテル内の宴会場およびレストランの銀器を含む食器の洗浄と管理)として就労していた。Yホテルの経営状況は平成10年度で約6.3億円の経常損失を計上し、未処理損失は37.7億円となり、ホテル・建物の未払賃料も9.1億円となり賃貸人から契約を解除され建物を明け渡すよう請求されるに至った。
Yホテルは、同年3月9日、Xらを含むスチュワードに対し、①賃金の支給対象を実働時間のみとし、現行では支給対象とされている食事・休憩時間を賃金の対象とはしない、②午後10時から午前8時までの深夜割増賃金を、午後10時から午前5時までに変更する、③午前8時以前に就労する者に支給される早期手当を午前7時以前に変更する旨の労働条件変更通知書を交付し、変更に同意しないスチュワードは、平成11年4月10日から雇用しない旨を通知した。これに対し、95%にあたる170人が同意した。しかしXらは組合を通じて団交を重ねたが同意せず、Xら及び組合はYホテルに対し「異義留保付承諾の意思表示」をした。Yホテルは異義留保付承諾の意思表示は、労働条件変更に同意しないものと判断して就労を拒否した。…
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平成15年1月20日第2425号14面 掲載