鞆鉄道事件(広島地福山支判14・2・15) 労働協約を締結し56歳時に基本給30%削減 内容・手続きとも不合理
2003.02.03
【判決日:2002.02.15】
年功賃金への期待 法的保護の対象に
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
会社(鞆鉄道㈱)はバス輸送を業としている。A、B、Cは、会社に雇用され運転手や添乗員等に従事している(Aは平成13年、定年により退職)。Aらはいずれも会社の労働者で結成する訴外私鉄中国地方労働組合鞆鉄道支部(以下、組合という)の組合員である。会社と組合は平成9年7月14日、希望退職に応じない者が56歳に達した場合、現行の基本給の30%減とする旨の労働協約を締結した(以下、本件協約という)。会社はAらが56歳に達した月の翌支払日から本件協約に基づき減額支給した。これに対しAらは本件協約の無効を主張し提訴した。
会社はおよそ次のように主張して本件協約はAらに対して規範的効力(労組法16条)が及ぶので減額支給は有効であると主張した。即ち「会社の昭和59年度ないし平成9年度までの自動車運送事業による損益はいずれも毎年多額の赤字を計上し、累積赤字は、平成8年度に5億7629万4080円に達していた。また、長期借入金も毎年計上し、平成8年度には7億6016万円に達した。これらの事情を踏まえ会社と組合との間で数度の協議を経た結果、本件協約締結に至った」。…
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平成15年2月3日第2427号14面 掲載