角川文化振興財団事件(東京地決平11・11・29) 特定業務に雇用された労働者へのリストラは? 解雇権濫用に当たらない
2000.09.04
【判決日:1999.11.29】
解雇4要件を絶対視する必要はない
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
Xら9名は、Y財団がK書店より業務委託を受けた「姓氏大辞典」の編さん業務に携わるために、①契約期間3年、必要があれば更新する、賃金は月給制(嘱託)、②契約期間2カ月、必要があれば更新する、賃金は日給月給制(臨時雇用者)、③契約期間2カ月、必要があるときは更新する、賃金は日給制(臨時日給者)のいずれかの形態でY財団に雇用されていた。
Y財団は、嘱託、臨時雇用者及び臨時日給者のいずれについても契約期間満了毎に契約書を作成するという手続は行っておらず、Xら9名は平成11年3月末までY財団で勤務していた。
平成10年11月にK書店が株式を上場するにあたり、証券取引所上場審査室よりY財団との業務委託契約は解消することが望ましいと指導されたため、K書店はY財団に対し平成11年3月末をもって業務委託契約を更新しない旨を通告した。
そこでY財団は、平成11年3月末をもって編さん室を解散し、そこに勤務するXら9名を含む全員(14名)に対し、K書店の100%出資子会社に移り、請負契約で仕事を継続することを提案したが、Xら9名はこれを拒否したため、Xらを解雇したものである。
Xら9名は、本件解雇はリストラ解雇であり、また整理解雇の4要件を欠き解雇権濫用として無効であると主張した。…
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平成12年9月4日第2311号13面 掲載